2012年に出版された『失敗する子は伸びる』(岸英光著、小学館)のベトナム語翻訳版が、この夏ベトナムで発刊されました。部数は6000部。日本での初版部数とあまり変わらないので驚いています。
ベトナムの人口は約9000万人。人口ピラミッドが日本と異なり、若い世代が多いとはいうものの、書籍1点あたりの発行部数はふつう500〜1500部ということです。なぜこんなにこの本のニーズがあるのか。ちょっと興味をもち、ベトナムでの子育てについて調べてみました。
『失敗する子は伸びる』は、親が先回りして手を貸したり子どもに代わって決めてしまう子育てをしていると、失敗を怖れ、自分で決められない子、新しいことにチャレンジできない子になってしまう、子どもの失敗をあたたかく見守る子育てをしよう、と提言する本です。
親が子どものためにとレールを敷きコントロールしてしまうことの多い日本では評価され、重版がかかっています。
ベトナムの子育ては「甘やかす」子育て?
ベトナムも同様の子育てをしているのでしょうか。調べてみると、ベトナムでは、日本以上に子どもの行動や進路に親が口出しすることが多いようです。また「甘やかす」ことが愛情を与えること、と考えられているとか。愛情をたっぷり与えることで自己肯定感が育つようですが、小学生や中学生になっても、子どもはまだ判断力がないので、代わりに決めてあげようとするようです。
その結果、自立できない、自分で責任をとれない大人になってしまう? そのことをなんとなく気づき怖れた人たちがいて、この本を手にしてくれたのではないでしょうか。
私自身、この本の編集に携わるまで、失敗させないよう先回りする育児をけっこうしていました。岸先生が指摘されるNGな母親の例に、思い当たるフシありありでした。気づいたとき子どもは大学生と中学生。時すでに遅し、、だったかもしれません。
いま子育て中、あるいはこれから子育てというお母さん、お父さん。自分で決められる子、ころんでも自分で立ち上がれる子に育てるには、手を貸したくても貸さず、温かく見守る子育てをしてください。